体験を「学び」に変えるために城の森保育園・城の森学童クラブの企画づくり
- チャンネル しろもり
- 7月23日
- 読了時間: 13分

食育企画は、当日に料理を作って終わりではありません。
城の森保育園・城の森学童クラブでは、体験の前、体験中、体験の後までを一つの学びとして考えています。
子どもたちが何も知らないまま参加しても、楽しい体験にはなるでしょう。
しかし、少しだけ背景を知り、疑問を持ち、自分なりの目的を持って参加することで、体験から受け取るものは大きく変わります。
私たちは、子どもたちに正解を先に教えすぎるのではなく、
「どうしてだろう」
「どんな人が作っているんだろう」
「自分ならどうするだろう」
と考える時間を大切にします。
体験の前に、興味の種をまく
企画の前には、その食べ物や協力してくださる方について、子どもたちと話をします。
例えば、タコス作りであれば、
「タコスは、どこの国の食べ物だと思う?」
「沖縄のタコスとメキシコのタコスは、同じかな?」
「トルティーヤは、何からできているんだろう?」
と問いかけます。
餅つきであれば、
「お餅は、何からできる?」
「どうしてお正月にお餅を食べるんだろう?」
「昔の人は、どうやってお餅を作っていたんだろう?」
と考えます。
ビスケット作りであれば、
「お店のビスケットは、どうして同じ形に作れるんだろう?」
「材料を少し変えたら、味や食感はどうなるかな?」
「お菓子屋さんは、どんなことを考えて商品を作っているんだろう?」
という疑問を持つことができます。
ありがとうキッズレストランでは、
「お客様に喜んでもらうためには、何が必要だろう?」
「料理がおいしいだけで、いいレストランになるかな?」
「自分がお客様なら、どんな声をかけてもらうとうれしい?」
と考えます。
この段階では、正解を求める必要はありません。
子どもたち一人ひとりが、自分なりに想像することが大切です。
疑問を持って体験に参加すると、子どもたちは自然に観察するようになります。
職人さんの手の動き。
道具の使い方。
材料の変化。
言葉のかけ方。
仕事をするときの表情。
ただ見るだけでは気づかなかったことに、自分から気づけるようになります。
子どもを「お客様」にしない
体験活動では、大人がすべてを準備し、子どもたちは用意された作業だけを行う形になりがちです。
もちろん、安全面への配慮や、年齢に合わせた準備は必要です。
しかし、大人がすべてを決め、失敗しないように先回りしてしまうと、子どもたちは体験の中で考える機会を失ってしまいます。
城の森保育園・城の森学童クラブでは、子どもたちを単なる参加者やお客様にしないことを大切にしています。
できることは、自分たちで行う。
何を作るのかを考える。
役割を決める。
必要なものを準備する。
困ったら友だちと相談する。
うまくいかなかったら、やり方を変える。
年上の子が年下の子を助ける。
年下の子も、自分にできる役割を見つける。
大人は、すぐに答えを与える人ではなく、子どもたちが自分で考えられるように支える人です。
「どうしたらいいと思う?」
「ほかの方法はあるかな?」
「誰か手伝える人はいる?」
と問いかけながら、子どもたち自身が次の行動を決められるようにします。
失敗できる企画にする
料理やものづくりでは、思いどおりにいかないことがあります。
形が崩れる。
材料をこぼす。
分量を間違える。
順番を忘れる。
焦げる。
味が想像と違う。
役割分担がうまくいかない。
友だちと意見がぶつかる。
こうした出来事は、大人から見ると失敗に見えるかもしれません。
しかし、子どもたちにとっては、考える力を育てる大切な機会です。
失敗しないように大人がすべて整えてしまえば、見た目のきれいな企画にはなるでしょう。
けれども、子どもたちは、
「困ったときにどうするか」
「失敗した後にどう立て直すか」
を学ぶことができません。
私たちは、安全に関わる危険は大人が取り除きます。
一方で、子ども自身が考え、工夫することのできる小さな失敗は、できる限り奪わないようにします。
うまくいかなかったときには、
「失敗したからダメ」
ではなく、
「何が起きたんだろう」
「次はどうする?」
と一緒に考えます。
失敗は、能力がないことの証明ではありません。
挑戦したからこそ生まれた経験です。
子どもたちが、失敗を怖がらずに挑戦できること。
それも、城の森保育園・城の森学童クラブが大切にしている教育です。
異年齢だから生まれる学び
城の森学童クラブには、年齢の異なる子どもたちが一緒に過ごしています。
食育企画でも、全員が同じ作業をする必要はありません。
高学年の子どもは、包丁を使った作業や、全体の進行、年下の子への説明を担当することができます。
低学年の子どもは、材料を運ぶ、混ぜる、形を整える、盛り付けるなど、自分にできる役割を担当できます。
年上の子は、教えることで自分の理解を深めます。
相手に伝わるように説明することは、自分が作業をするよりも難しいことがあります。
年下の子は、年上の子の姿を見て、
「自分もやってみたい」
「いつか自分も、あんなふうにできるようになりたい」
と憧れを持ちます。
また、年上の子も、すべてが得意とは限りません。
年下の子の方が丁寧だったり、自由なアイデアを出したりすることもあります。
年齢が上だから偉いのではなく、一人ひとりに得意なことや役割がある。
異年齢での活動は、そのことを自然に教えてくれます。
「食べる人」を想像する
料理やお菓子作りでは、自分が食べたいものを作るだけでなく、それを食べる人について考えることを大切にします。
誰が食べるのか。
何歳くらいの人なのか。
どのくらいの量が食べやすいのか。
どんな味が喜ばれるのか。
見た目はどうしたら楽しくなるのか。
アレルギーや苦手な食材はないか。
温かい方がよいのか。
どのような言葉を添えて渡すのか。
相手のことを想像することで、料理は単なる作業ではなくなります。
自分の好きなものだけを優先するのではなく、相手の立場に立って考える。
これは、思いやりの力です。
ありがとうキッズレストランでは特に、この視点を大切にします。
料理を作って終わりではありません。
お客様を迎え、声をかけ、料理を届け、食べ終わった後まで関わります。
「おいしいですか?」
「困っていることはありませんか?」
「ありがとうございました」
相手の表情を見ながら行動することは、コミュニケーションの学びにもなります。
命をいただくということ
食育の中で忘れてはいけないのが、命について考えることです。
肉や魚だけが命ではありません。
野菜も、米も、小麦も、生き物として育ち、私たちの食事になります。
一つの食材が育つまでには、太陽や雨、土、水、時間が必要です。
さらに、それを育て、収穫し、運び、調理する人がいます。
食事の前に言う「いただきます」は、単なる習慣ではありません。
命をいただくこと。
作ってくれた人の時間や努力をいただくこと。
自然の恵みをいただくこと。
そのすべてに対する言葉です。
だからこそ、無理に完食させることだけを食育にするのではなく、
「なぜ大切に食べるのか」
を子どもたちと一緒に考えることが大切です。
食べられる量を考えて取る。
苦手なものも、作られる過程を知ったうえで少し試してみる。
残った食材をどう活用できるか考える。
生ごみがどのくらい出たかを見る。
こうした経験を通して、食べ物を大切にする気持ちを育てていきます。
地域の仕事を知る
4つの企画には、それぞれの分野で仕事を続けている地域の方々が関わっています。
子どもたちには、作り方だけでなく、仕事についても聞いてほしいと考えています。
「どうして、この仕事を始めたのですか?」
「どんなときに、うれしいですか?」
「大変なことは何ですか?」
「失敗したことはありますか?」
「仕事を続けるために、大切にしていることは何ですか?」
大人の仕事は、子どもたちからは見えにくいものです。
商品やサービスは見えても、その人がどのような想いで働いているのかまでは分かりません。
実際に働く人の言葉を聞くことで、子どもたちは、仕事にはさまざまな形があることを知ります。
そして、仕事とは、特別な人だけがするものではなく、自分の好きなことや得意なことを、誰かの役に立つ形にしていくことだと気づいていきます。
この体験が、将来の夢をすぐに決めるためのものではありません。
子どもたちの中に、
「こんな仕事もある」
「こんな生き方もある」
という選択肢を増やすためのものです。
選択肢を知ることは、未来の可能性を広げることです。
体験した後に、言葉にする
体験の後には、振り返りの時間をつくります。
ただし、
「楽しかった人?」
「おいしかった人?」
と聞くだけでは、体験の深い部分までは見えてきません。
子どもたちには、次のような問いを投げかけます。
「一番心に残ったことは何ですか?」
「難しかったことは何ですか?」
「友だちに助けてもらったことはありますか?」
「自分が誰かを助けたことはありますか?」
「作る前と作った後で、食べ物の見え方は変わりましたか?」
「働いている人の、どんなところがすごいと思いましたか?」
「次にやるなら、どこを変えたいですか?」
「家族に伝えたいことは何ですか?」
子どもたちは、体験したことを言葉にすることで、自分の中にあった気づきを整理します。
また、友だちの感想を聞くことで、同じ体験をしても感じ方が違うことを知ります。
自分が気づかなかったことを、友だちの言葉から学ぶこともあります。
振り返りは、正しい答えを発表する時間ではありません。
一人ひとりの感じたことを大切にする時間です。
家庭へつながる食育
園や学童での体験が、その場だけで終わらないためには、家庭とのつながりも大切です。
子どもたちが家に帰ったとき、
「今日、こんなことをしたよ」
「この食材は、こうやって作るんだよ」
「お店の人が、こんなことを話していたよ」
と話すことがあります。
その会話が、家庭での食育につながります。
保護者の皆さまには、上手にできたかどうかだけでなく、
「どんなことに気づいたの?」
「誰と協力したの?」
「難しかったとき、どうしたの?」
「また作るなら、どうしたい?」
と聞いていただけるとうれしく思います。
子どもの話を聞くことで、体験はもう一度、子どもの中で意味を持ちます。
また、家庭で一緒に料理をするきっかけになるかもしれません。
子どもに一つの役割を任せる。
買い物で食材を選んでもらう。
食事を作ってくれた人に、ありがとうを伝える。
地域のお店へ実際に行ってみる。
園や学童での体験が家庭へつながり、家庭での経験が再び子どもの学びへつながる。
その循環を大切にしていきたいと考えています。
企画ごとの主な学び
ありがとうキッズレストラン
誰かのために行動する力
働くことの意味
お客様を思いやる心
仲間と役割を分担する力
接客や言葉遣い
食材を無駄にしない工夫
「ありがとう」と言われる喜び
TACO PETES OKINAWAとのタコス作り
世界の食文化への興味
メキシコと沖縄の文化のつながり
違いを楽しむ感性
初めてのことに挑戦する力
本物の料理人の技術
食材や調理方法への関心
多様性を受け入れる力
誠もちとの餅つき体験
沖縄と日本の伝統文化
仲間と呼吸を合わせる力
道具を安全に使う力
完成まで粘り強く取り組む力
食べ物ができるまでの手間
伝統を未来へつなぐ意味
古いものから新しい価値を生み出す視点
otamaビスケットとのビスケット作り
ものづくりの楽しさ
材料の性質や変化への興味
分量や手順を考える力
形や見た目を工夫する創造性
失敗から学ぶ力
職人のこだわりや試行錯誤
商品を届ける相手を想像する力
年齢に合わせた役割
同じ企画でも、年齢によって学び方や担当する役割は異なります。
幼児・低学年
材料に触れる
混ぜる
丸める
型を抜く
盛り付ける
運ぶ
あいさつをする
感じたことを話す
まずは、五感を使って楽しむことを大切にします。
できたという喜びや、自分も役に立てたという実感につなげます。
中学年
分量を量る
手順を確認する
友だちと役割を相談する
お客様への説明を考える
低学年の子を手伝う
作業の改善点を考える
自分の役割だけでなく、周りを見ながら動くことを学びます。
高学年
全体の進行を確認する
チームの役割を調整する
年下の子に説明する
安全面を意識する
お客様への対応を考える
原価や食材の量を考える
振り返りをまとめる
高学年には、作業をするだけでなく、チーム全体を支える役割にも挑戦してもらいます。
ただし、年齢だけで役割を決めるのではなく、子ども一人ひとりの得意なことや挑戦したいことを大切にします。
私たちが大切にする5つの視点
1.子どもが真ん中にいること
大人が見せたいものを見せるのではなく、子どもが何に興味を持ち、何を考え、何に挑戦したいのかを大切にします。
2.本物に出会うこと
実際に仕事をしている人、本物の道具、本物の材料、本物の文化に触れる機会をつくります。
3.失敗する権利を守ること
安全を守りながら、子ども自身が考え、試し、失敗し、やり直す機会を大切にします。
4.地域とつながること
地域の人やお店、企業を、子どもたちの学びの仲間としてつなぎます。
5.未来につながること
その場の楽しさだけでなく、体験が子どもたちの考え方や行動、将来の選択にどうつながるかを考えます。
子どもたちに伝えたい言葉
食べ物は、当たり前に目の前にあるものではありません。
たくさんの命と自然、人の時間や努力がつながって、私たちのもとへ届いています。
作ることは、誰かを想うことです。
働くことは、誰かの役に立つことです。
文化を知ることは、自分のルーツと、世界の広さを知ることです。
失敗することは、できない人になることではありません。
挑戦した人だからこそ、次の工夫を見つけられます。
一人ではできないことも、仲間と力を合わせれば形にできます。
そして、自分の力で誰かを笑顔にすることができます。
城の森保育園・城の森学童クラブは、食育を通して、そんなことを子どもたちに伝えていきたいと考えています。
地域の皆さまとともに
子どもたちの学びは、園や学童の中だけでは完結しません。
地域には、子どもたちに伝えたい技術、文化、仕事、知恵、物語を持つ方がたくさんいます。
今回ご協力いただく皆さまのように、子どもたちに本物の体験を届けてくださる存在は、私たちにとって大切な教育の仲間です。
これからも城の森保育園・城の森学童クラブは、地域の方々と一緒に、
食べること。
作ること。
働くこと。
誰かを喜ばせること。
地域を知ること。
文化を受け継ぐこと。
新しいことに挑戦すること。
を子どもたちへ伝えていきます。
地域全体が、子どもたちの学びの場になる。
地域の大人たちが、子どもたちの先生になる。
そして、子どもたちの存在が、地域に新しいつながりや元気を生み出していく。
そんな循環を、これからも一つひとつ丁寧につくっていきます。
関連ホームページ
城の森保育園・城の森学童クラブ
城の森学童クラブ公式ホームページ
ありがとうキッズレストラン・うま藻
うま藻公式ホームページ
うま藻について
TACO PETES OKINAWA
誠もち
公式ホームページ
otamaビスケット
公式オンラインショップ
公式店舗ホームページ
公式Instagram
https://www.instagram.com/otama.biscuit/


.png)





コメント